小野裕二 先生によるマーケティング入門の授業では、「顧客がいいと思うモノを市場に送り出す仕組みづくり」の基本を、アクティブラーニングで学びます。
「お客さんは誰なのか(Who)?」「お客さんにどんな価値を提供するのか(What)?」「お客さんにどのように届けるのか(How)?」をケースを題材にして議論していきます。
使用ケース
- セブン-イレブン・ジャパン 創業期
- 江崎グリコ「ポッキー」2017
- 任天堂「Wii」 2013
- ザ・リッツ・カールトン大阪
- Apple「iPhone」2017
- 株式会社ユー・エス・ジェイ 2016
- サントリー「角ハイボール」2012
- スターバックスコーヒー ジャパン 2018
ユニバーサル・スタジオ・ジャパンのマーケティング担当者の立場になる
6週目の今回の授業では、ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(以下:USJ)のケースで、「もし自分がUSJのマーケティング担当者であれば、入場料の値上げを行うか否か?」を議論しました。USJは若者にも人気のテーマパークで、受講生の大半が足を運んだことがあり、とても馴染みのあるケースとなります。受講生は、自らの経験も踏まえつつ、積極的に議論に参加することができました。
全体での討議では賛成派、反対派の両面から、様々なメリット、デメリット、代替案、補強案が提起されました。当初は反対の立場であったものの、授業に参加して、様々な議論を経験する中で、最終的には賛成の立場に代わる受講生も出てきました。これもアクティブラーニングの学習効果の証といえます。
入場料を上げ続けているのに、なぜ入場者数が増え続けているのか?
受講生たちが注目したのは、USJが値上げをしているのにもかかわらず、入場者数を増やしてきたという現実です。価格だけに注目すれば、値上げは買い控えを招くと考えがちです。消費者は「体験価値」と「価格」とのバランスで判断するという考えのもと、体験価値の向上を伴った値上げであれば客数増につながりうること、そしてこれこそが「一流のマーケター(マーケティングの従事者)」に要求される仕事であることをこのケースの議論を通して学ぶことができました。
最新のビジネストレンドも学ぶ
授業では最新のケースが取り上げられるので、現在、ビジネス界で進行しているホットな話題も扱われます。
ダイナミック・プライシング(価格変動制)
今回のケースでは、ダイナミック・プライシング(価格変動制)の問題についても、議論が展開されました。ダイナミック・プライシングとは、ピーク期間とオフピーク期間で料金が変動する料金体系のことです。海外では大手テーマパークやプロスポーツの分野でも導入されており、珍しくはありません。日本ではホテルの宿泊や航空券はもちろん、近年では音楽ライブのチケットなどでもダイナミックプライシングを導入する動きが始まっており、テーマパークの利用者側でも、新しい料金体系を受け入れる土台はできつつあります。日本では、レゴランドが2018年7月に導入しました。
授業では、ダイナミック・プライシングで繁忙期と閑散期の入園者数を平準化し、ゲストの体験価値を向上させながら入園者数の水準の上昇につなげることが可能ではないか、という意見も出されました。本ケースを通して、日本で導入されつつある新しいマーケティング手法についても、学ぶことができました。この授業を通じて受講生たちは、ビジネスにおける「マーケティングの重要性」を理解すると同時に、「マーケティングの魅力や楽しさ」を追体験する絶好の機会を得ることとなりました。