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アクティブラーニングは学生が主役〜その17〜

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コミュニケーション学部の竹澤伸一教授による「アクティブラーニング」コラム第17回。竹澤先生は学生に寄り添い、授業で発言する楽しさを教え、教員として学生の貴重な学びの時間に熱意を持って向き合いながら、「学生全員が主役」になるよう教鞭を執っています。

   

「譲り渡さない主体性は保持しながらも仲良く学ぶ。」前回の最後にこう書いたら、3/15の本連載に呼応記事が出ました。曰く、「主体性が身につくアクティブラーニング」。「相手の意見を鵜呑みにすることなく、自分の考えと巧みに共有させ、より良い答えを導く。」主体性とは、まさにこうあるべきです。でも、これが難しい。なぜならたかが「授業」(されど「授業」ですが)の中にさえ、微妙な「利害関係」が存在するからです。読者の皆さんはご存知でしょうか?日本の小・中・高等学校の成績評定(注、成績評価ではない)は、とうの昔に「絶対評価」に移行しているということを。大昔、私が公立中学校の教員になった頃は、評定は「相対評価」でした。

5段階評価なら、5が何%、4が何%・・と枠が設定され、1もつけなければなりませんでした。でも今は違います。極端な話、教員が予め設定した「到達目標」に全員が到達したら、「全員が5」もあり得るのです。「到達目標」そのものを厳密にしなければなりませんが。
要は、どんなに「仲良く学んで」も、A君とBさん・・には成績がつくわけです。そこに確実に「利害関係」が生じます。かつてある中学生に面と向かって言われたことがあります。「先生、いつも私たちのことを褒めてくれるけどさ、なんだかんだ言って、結局成績をつけるんだよね。」その瞬間には、一言も返せませんでした。それが子どもの本音。中学生だって大学生だって同じです。最後には成績が待っている・・。だから、「アクティブラーニング」こそ「評価・評定基準」を明確にしなければなりません。そしてそれを「主役である学生」に完璧に納得してもらわなければなりません。「発言が多いから、あなたは成績が『A』」という単純思考では、到底「主役」の納得は得られません。大学になると、「何で私の成績が『B』で、彼の成績が『A』なんだ?」ということが起こりがちです。小・中・高と違い、フィードバックの機会がないので。

成績に関する「利害関係」には、教員は極めて慎重でなければなりません。「なんであいつが・・。」という疑心暗鬼が教室に充満したら、「主体性」どころの話ではなくなります。「成績評価・評定基準」を、「主役」である学生に「見える化」しないといけません。真に活躍し、「チーム学習に貢献した学生」を高く「評価」しなければなりません。「アクティブラーニング」には「決まった正解」がありません。本来はペーパーテストで「評価・評定」ができないのです。「チーム学習への貢献」をどう正当に評価するか。「利害関係からの超越」が求められます。



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