
杉野さん(写真左、国際学部・グローバル教養学科3年)
入学以前から本学の海外プログラムに興味を持っていた杉野さん(国際学部・グローバル教養学科3年生)。海外インターンシップ(通称CAPI)に参加した先輩から「就職に目を向ける2年生後半から参加すると学びが大きい」と教えてもらったことからその時期を狙って参加しました。卒業後の就職先にはサービス業や福祉関連事業を検討していましたが、日本にいては滅多に経験できない、工場内部での就業ができる製造業がお勧めだと聞き、飛び込んでみることにしました。早めの就職活動対策として覗いた製造業の裏側。その感想と今後の展望について聞いてみました。
「将来は海外で働きたい」と挑んだ海外インターンシップ
本学にはいくつかの海外プログラムがありますが、私が海外インターンシップ(通称CAPI)を選んだのは、海外で働く経験を短期間でも味わってみたかったからです。国内外問わず新しい人と出逢うことが好きで、国際学部に入学したのも、様々な国の友人を作ることができると考えたからです。CAPIは異文化交流はもちろんのこと、海外で就業するとはどのようなことなのかを経験できる貴重なプログラムです。海外で働くことに憧れがあったのでCAPIへの参加は絶好の機会だと考えました。そして、就職について考え出す2年生の後半から参加するのがお勧めだと、以前に参加した先輩から聞いたので、その時期を狙って参加することにしました。CAPIは事前に参加を希望する国、業種を申請することができます。サービス業も検討しましたが、日本でインターンシップが難しいとされる製造業の工場内でのインターンシップを知り、キャリアサポートセンターの方の勧めもあってそちらに参加することにしました。
ベトナムの日系企業にて工場のライン業務に従事

派遣されたのはベトナムにあるテレビ用受信アンテナを中心に製造を行なっている日系企業です。自社の工場だけでも実に多くの部品を作っていますが、大型の部品については協力会社に依頼しています。私は自社工場及び協力会社の双方にて研修を積ませていただきました。慣れない作業のため最初は上手にできませんでしたが、工場全体に「無理のないペースで作業をする」という雰囲気がありましたので落ち着いた気持ちで作業をすることができました。特にハンダゴテが難しく、こんなに細かいことを手作業で行なっているのかと驚きました。工場とは言え、ハンドメイドの部分が多いと感じました。また、こちらの工場を訪れるまでは工場に対して清潔なイメージはありませんでしたが、今回の研修でその印象は大きく変わりました。製造業に大切な5つのS(整理・整頓・清掃・清潔・躾)が徹底されているから工場内は整っており、従業員の方も集中してプロの仕事をしているという印象でした。
一方で休憩時間になると従業員の方は食堂に走ったり、床に持参した段ボールを敷いて仮眠をとったり思い思いに過ごしていました。せっかくなので仲良くなりたいと話しかけようとしましたが、皆さん間髪入れずに動き出したのでそのタイミングを失ってしまいました。一方で、私の体調を気にかけて、「日本人はお茶が好きだから。」とベトナムではメジャーとされる缶のお茶を差し入れてくださる方がいました。いただくと日本のお茶とはまるで違い、ものすごく甘いレモンティーのような味がしました。その他にもドラゴンフルーツのジュースもあり、自動販売機で買える飲み物は大抵とても甘いです。その後私が好んで飲む飲み物は水になったのは言うまでもありません(笑)。
業務改善策を提案&実践
3週間の研修期間のうち、2週間目が終わる頃に「業務改善すべき点を教えて欲しい」と依頼されました。私から見たらすでに充分な環境ですし、まだそれほど勤務していないのに何を伝えられるだろうと悩みました。しかし、新人だから提案できたことが一つありました。それは、ライン作業中ピンセットでの細かい作業を効率的に進めるための提案です。1枚のプレートの数か所にねじを留める際、ベテランの従業員はともかく、新人の私は一つ一つ取り付けるのに時間がかかってしまいます。一度にネジを複数個掴んで作業をすることはできないものかと考えました。すると、そのためにはピンセットの形を変えた方良いのでは?と従業員の方がその試作品を作ってくださいました。私が試作品を使用して作業をすることで、トライアンドエラーを繰り返しました。微力ながらも貢献できたと思います。
帰国後には気持ちの変化が
3週間の研修を経て、現実を見たことにより海外で働くことへの憧れは減りました。しかしそれは良いことだと思っています。私にとって働く環境は仕事選びにおいて何よりも重視したいことですが、海外で働くと考えた場合に、今の私にはその環境を快適だと捉えることはできないと気づいたからです。今の私にとって、細かなニュアンスを伝えるにはどうしても日本語でなければなりません。外国語では無理が生じてしまいます。主となる会話は日本語でできるように日本での就職を希望するようになりました。しかし海外で働くことを断念したのではありません。きちんと準備をして再度挑みたいと考えています。海外で働きたいと思った当初の理由は日本を離れることにより自身に生じる甘えを無くし、成果を出したいからでした。しかし、それは日本の企業でも充分可能です。海外で働けるくらい逞しくなりたいと思います。
一方で引き続き英語を使って業務をしたいという希望を持っています。現在興味があるのは日本法人でありながら海外展開をしているアパレル業界や、福祉に関わる業務です。製造業は今回経験して、自身のキャリアプランとは異なることがわかりました。福祉に関しては働きながら取れる資格を身につけて、障がいのある子供が放課後に通うトワイライトスクールに勤務したいという希望もあります。どのような業種でも人と関わりながら信頼関係を積み上げていく業務がしたいという軸は変わりません。英語や手話の勉強を日々続けているので、それらを極めてより多くの人と接点を持ちたいです。
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本学ではASEAN諸国、インドにてインターンシップ経験ができる海外インターンシップ、通称CAPI(Career Advancement Program Internship)を2-4週間の短期と、3ヶ月に渡る長期にて実施しています。こちらのページも併せてご覧ください。